骨粗しょう症とは

骨粗しょう症

骨は毎日一部壊され(骨吸収)一部新しく作られており(骨形成)、このバランスによって骨の密度が保たれております。骨粗しょう症はこのバランスが崩れ、骨の密度が低下して脆くなってしまう病気です。成長期のカルシウム不足、運動不足、喫煙、過度の飲酒、閉経による女性ホルモンの減少や老化などが原因となり、骨量が減少します。これに伴い、ちょっとした衝撃や転倒によって生じる下肢の骨折(大腿骨頸部骨折、大腿骨転子部骨折)、背骨の骨折(椎体圧迫骨折)、上肢の骨折(橈骨遠位端骨折)リスクが高まります。

骨粗しょう症の怖さは症状がほとんどなく、骨折して初めて診断されることです。中高齢の方が骨折すると、治癒に時間がかかり、長期にわたって日常生活に支障を来たすようになります。これに伴って介護が必要な状態になる人が少なくなく、介護保険の適用となる主な理由の1つとなっています。

女性は50歳になる前に検査を

高齢の女性を中心として、骨粗しょう症は年々増加の一途をたどっています。閉経の頃から女性ホルモンの分泌が低下しますが、これによって骨の代謝も変化していき、骨吸収が骨形成を上回ります。骨粗しょう症による骨折予防のため、女性の方は50歳になる前に一度は骨粗しょう症の精密検査を受けるよう、お勧めいたします。

骨粗しょう症の主な治療法

食事療法 運動療法 薬物療法

食事療法

骨粗しょう症の治療や予防にあたっては、骨の密度を落とさないための食事が大切となります。骨の主成分であるカルシウムやたんぱく質、骨のリモデリングに必要なビタミンDやビタミンKをしっかりと摂るようにしましょう。具体的には、カルシウムを700~800mg/日、ビタミンDは400~800IU/日、ビタミンKは250~300μg/日を摂取することが推奨されています。これらの栄養素を積極的に摂りながら、しかもバランスの良い食生活を送ることが大切です。一方、アルコール、カフェイン、スナック菓子やインスタント食品などの摂り過ぎには注意しましょう。

運動療法

骨は運動をして体重負荷をかけることで刺激を受け、丈夫になります。逆に、何もせずベッドに横たわってたりすると、どんどん弱っていきます。筋肉を鍛えることで体をしっかりと支えられるようになり、バランス感覚も向上して転倒防止にもつながりますので、運動療法もきちんと取り入れるようにしましょう。なお、激しい運動をする必要はありません。散歩くらいでも効果がありますから、できれば毎日、あるいは週に数回でも、とにかく長く続けてください。

薬物療法

骨粗しょう症の病状が進んだケースでは、食事療法や運動療法と併せて薬物療法を行う必要があります。骨密度検査や採血検査の結果に応じて内服製剤または注射剤を用いて骨吸収を抑制したり骨形成を刺激したり、患者さまの状態に合わせて使い分けていきます。